相模原市緑区小倉にある八幡宮は見事な参道が保存されている。直線道で、鳥居から神社を眺めると、参道は320度の北西を向いて、かつてあっただろう山頂に視線を誘う。この320度という向きは日本の各地に見られる向きで、代表的な風景を挙げると宗像大社の参道になる。福岡県宗像市にある宗像大社の境内の参道の向きや、大社へ向う県道69号線も見事に320度に延びている。
この視線をそのまま海まで延ばすと、中津の宮がある大島へ向い、さらに海の正倉院と讃えられる沖ノ島の宮に辿り着く。グーグルマップにスキッチで作図したものを下のリンク先に置く。
https://www.evernote.com/l/ACFJkU4GhDpHU5ZVurpdNeKnB7KMjnTcXJc
この320度という向きは織姫星が沈む方角ではあるけれど、白鳥座の中心が沈む向きでもある。「儺の国の星」を書いた真鍋大覚によれば、天之御中主(あめのみなかぬし)の星がここにあったという。赤色矮星は爆発して消え去り、平安時代にはその痕跡も見えなくなったのだろう、と。古事記の一番初めに書かれた神は宇宙最大の神であった、らしい。宮島にある厳島神社も沈む白鳥座を見ているらしい。こちらは320度ではなく対岸の烏帽子岳を指しているが、沈んでいく星を見ているのに違いは無い。下のリンクは厳島神社の図。
https://www.evernote.com/l/ACGHsk-K5g9PZrIgxycesO-UiUO_4yypjhI
相模原市の小倉の八幡宮の参道がいつまでも大切にされると良いなあと願う。神社は時代ごとの施政者の気に入った神様の名に変わってしまうけれど、その境内の末社には、初めに鎮座した神様がきっとひっそりとあるはずなのだ。おそらく太神宮があったかもしれない。鹿島神宮の祭神だ。有史以前の日本の神である。山の上に沈んでいく白鳥座の姿を、古代の人と同じ場所で、眺めてみたいと思う。